妙に食欲がわいてきて困る。
人間50歳過ぎれば1日に必要なカロリーなどたかが知れているはずで、腹減ったなんか食いたい、というのはおよそ脳味噌からの指令に基づくものに過ぎないとは思うんだが、それだから余計始末に悪い。
そもそも小人閑居してなんとかというくらいで、食い物のことのこと考えているのは仕事もっせずぼーっとしている時であったりする。忙しく働いているときにそんな余裕はない。
でも、世の中にはほんとに食い物に興味がない人がいるようで、「そういえば今日は昼ごはん食べるの忘れてた」などといわれるとこちらはちょっと呆然とする。
あんまり食い物のことをあれこれ考える、書くというのはどうも人間として下の部類に分けられるような気がして忸怩たる思いもあり、北野武氏の「マスコミに取り上げられた店に行列するなんてのはみっともない。めしなんて並んでまで食うもんじゃない」という発言には激しく同意するし、事実偏食な豚児に対しては「食い物のことでぐちゃぐちゃ言うんじゃねえ」としばしばテーブルをひっくり返しそうな勢いで怒ったりするのだが、どうも書き始めると食いもんのテーマになっちまうことが多い。
きっとあれだな、欲望の部分がだいぶ減退してきて、しっかりと残っているのが食欲なんだろうな。もとが意地汚いし。
それとまあ、食い物の話はあんまり罪がないってのもあるな。